何十年もの紆余曲折を経た北朝鮮拉致問題。「救う会」会長の西岡力氏に話を伺い経緯を俯瞰、今回ラストチャンスとも言われる拉致問題の解決を模索する(2018/06/05)

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読むオプエド Vol.089

何十年もの紆余曲折を経た北朝鮮拉致問題。
「救う会」会長の西岡力氏に話を伺い経緯を
俯瞰、今回ラストチャンスとも言われる拉致
問題の解決を模索する

2018/06/05

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ゲストに北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会会長の西岡力さん、何度も北朝鮮に撮影に行っている写真家の初沢亜利さんをお迎えし北朝鮮拉致問題についてお話を伺います。レギュラー陣は乃木涼介アンカー、義山望アシスタントです。

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【乃木涼介アンカー】
北朝鮮の拉致問題についてじっくりお話を伺いたいんですが、1970年代から続いている、北朝鮮による拉致問題なんですが、この拉致問題の現状について西岡さんはどうご覧になっているんでしょうか?

【西岡力氏】
「70年代から」というのは限定し過ぎで、60年代から拉致があったことは間違いないんです。韓国では50年代からありますしね。政府認定では70年代からですけども…なかなか深いものがあると。

今回北朝鮮がどういうカードを出してくるかわかりませんけども…「全被害者の一括帰国」ということを我々は言ってるんですけども、その「全被害者」とは一体何人なのかと。政府認定が17人で5人帰ってきましたから残りは12人ですけども、それ以外にもいるんですよね。そういうこともあるので、「70年代から」という断定的な言葉遣いでは言わないほうがいいんじゃないかとちょっと思いました。

今回拉致問題が浮上してきた一つの理由は、トランプ大統領が「金正恩(キム・ジョンウン)に会った時、拉致問題を議題にする」…それだけではなくて、「被害者が帰ってくるために自分にできることは何でもする」と3月の日米首脳会談の会見で話したんですよね。そういう事もあって、米朝首脳会談で拉致問題が取り上げられるのではないか…どういう結果になるんだろうかということで、関心が高まっているということですね。

【乃木アンカー】
西岡さん自身はこの拉致問題に最初はどういう関わりを持って始められたんですか?

【西岡氏】
私は1991年に学者として「日本人が拉致されている」という論文を書いたんですね。金丸さんという有名な政治家がいて、90年に訪朝して金日成に会ったときに拉致問題を全く取り上げなかったんですね。それで日朝の国交正常化になろうかという話になって、その時に「拉致問題を無視して国交正常化していいのか?」という問題意識で論文を書いたんですけども…全く無視されましたね。誰が書いたか知りませんが、「殺してやる」という脅迫状が来たりですね、そういうこともありました。

その後6年経って、横田めぐみさんの拉致が明らかになったんですけども、「月刊現代コリア」という雑誌で横田めぐみさんの拉致の情報を最初に出したんですね。それで横田さんのご両親が決意して、名前を出す、写真を出すということをしたんですね。97年なんですけども。

当時警察は「名前を出すと証拠隠滅のために被害者が殺されるかも知れない」ということを警告していたので、横田さん以外の被害者の家族は、名前を出していませんでした。しかし拉致された77年から97年までの20年間、何も進展がなかったように、名前を出さないでいたらすぐに忘れ去られて、この先の20年も何も進展しないのではないか、それならば世論に訴えたほうがいいと横田さんは考え、名前や写真の公開に踏み切ったのです。

これは命がけの決断ですから、親たちがするものです。私はそれまでは学者として論文を書いていたのですが、その親たちの決断を見て、それでも世論が盛り上がらないようなことがあってはいけないということで、「救う会」を立ち上げて、21年間一緒にやってきたという経緯です。

【乃木アンカー】
もともと最初は「拉致されてるんじゃないか」という噂から始まったんでしょうか?

【西岡氏】
逆にお聞きしたいんですが、日本政府が「日本人が拉致されている」ことをいつ認識したと思います?…実は日本の国会で日本人が拉致されていると答弁があったのは、1988年なんです。その前年に大韓航空機爆破事件というのがあって…北朝鮮によるテロですけども、その犯人のうちの一人が自殺を図りましたけども生き残って、記者会見をしたんです。金賢姫(キム・キョンヒ)さんですね。記者会見を途中から日本語でしたんですよ。「この日本語は、実は日本から拉致された女性に習いました」と言ったんですね。

その翌年の88年に当時国家公安委員長だった梶山静六さんが「北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚である」という歴史的答弁をしています。

その2年後に金丸訪朝があったのに、金丸さんは拉致問題を金日成にぶつけなかった。それで私が論文を書いたんですが。

しかし、その「梶山答弁」はほとんど知られてないですね。それはNHKも、読売、毎日、朝日も一行も報道しなかったんです。国家公安委員長が国会で北朝鮮という国の名前を出して「日本人が拉致されてる」と言ったんですよ。それに対する批判すらなく、「なかったこと」にされちゃったんです。


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