談話分析による言語コミュニケーションの研究成果を応用し、ロボットと共存する未来社会の「ロボットリテラシー」を提唱する慶応大学SFC研究所の白井宏美氏に話を訊く(2018/04/26)

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読むオプエド Vol.062

談話分析による言語コミュニケーションの研究
成果を応用し、ロボットと共存する未来社会の
「ロボットリテラシー」を提唱する慶応大学
SFC研究所の白井宏美氏に話を訊く

2018/04/26

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今回は言語学が専門で「談話分析」の研究をされている慶應義塾大学のSFC研究所上席所員の白井宏美さんをゲストにお迎えして、お話を伺いました。

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【佐藤由季アシスタント】
白井さんは慶應義塾大学のSFC研究所上席所員をされていらっしゃいますが、白井さんが取り組んでいる「談話分析」とは一体どういうものなのでしょうか?

【白井宏美氏】
大きなくくりは言語学なんですけども、テキストとか会話を分析するものなんです。例えば「暑いですね」と私が言うと、文の意味だけ見ると「暑い」ということしかないですが、会話の中で出ると状況・場面が関わってくるんですよ。

私が会話の中で「暑くないですか?」というと、形としては疑問文ですが…実はさっき本番前に実際に「暑くないですか?」と言ったんですが、そうするとスタッフの方が「空調を強めましょうか?」と言ってくださったんです。そうすると、私の言葉は質問ではなく要請、お願いだったということになります、内容としては。形は質問なんですけどね。そこで人間関係とか、コミュニケーションが関わってくるんですね。

私が「暑くないですか?」と言ってスタッフさんが「そうですね」と返すだけだったら「我慢しようかな」となりますけど、「空調を強めましょうか?」と意図を察して言ってくださると…これ「忖度」なんですけど、忖度って元々悪い意味じゃないですからね。こういう配慮はコミュニケーション、人間関係において大事なことで、含意を読み取って行動に出るということがわかってくるんです。

私の初期の研究で、初対面の人に来てもらって話をしてもらい、データを取ってました。そういうことをすると人がどういう風に会話するか、関係を作って行くかというのがわかってきます。それから「日独比較」をして、異文化コミュニケーションに役立てようとか、そういう研究もやっています。…ちょっと幅が広いんですが。

また、談話分析は会話だけではなくて、新聞記事とか、書き言葉も対象にしています。それからチャットのコミュニケーションを分析したりとか。

【佐藤アシスタント】
そして2016年から「芸人Pepperプロジェクト」という企画に取り組んでいるそうですが、これはどういうものですか?

【白井氏】
このプロジェクトに至る前は、「すべらない話の面白さは何か」とか、明石家さんまさんがどうやって面白くゲストの話を引き出していくのかとか、芸人さんのキャラの作り方とか、そういうお笑い番組の分析をやって、研究発表したりしてたんですね。

こういった芸人さんたちの分析をした成果を、どんなふうに発信したらいいのかということを模索していたところに、ロボットのペッパーと漫才をしている吉本の芸人さん「ペッパーズ」の動画を見たんですね。これを見てピンときたんです。これで研究成果を出したり、学生たちが表現したりできるんじゃないかな、と思ったんです。


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言語学が専門の先生が、こんな風にロボットを応用した研究をされているとは、目からウロコでしたね。相手がロボットとは言え、人間とコミュニケーションをとっていく以上は、「談話分析」のようなノウハウ、研究成果がものを言うんですね。白井さんの今後のご活躍が楽しみです。