前美濃加茂市長収賄事件、詩織さん準強姦疑惑、森友学園 籠池氏の長期勾留…ヤメ検弁護士、郷原信郎氏が司法の闇を斬る!(2018/01/10)

1月10日のニューズオプエドは、郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士の郷原信郎さん、公益社団法人 自由報道協会代表の大貫康雄さんをお迎えし、郷原さんが主任弁護士を務めた前美濃加茂市長の藤井浩人氏が受託収賄などの罪に問われた事件、伊藤詩織さんの準強姦疑惑事件、森友学園の籠池前理事長夫妻が長期勾留されている問題についてお話を伺いました。


藤井浩人前美濃加茂市長 受託収賄事件


【郷原信郎氏】
これは現職市長が市議会議員時代のわずか30万円の収賄で逮捕、起訴された事件。その金額自体も「そんなことで現職市長を逮捕するのか」と驚きます。しかしそれよりも遥かに大きな問題は、「そもそもそんな賄賂の授受はなかった」と藤井浩人市長は主張してきたのですが、一審ではそのことが認められて無罪。ところが控訴審でとんでもない逆転有罪判決が出て、それを上告審が「三行半」の決定で認めてしまったのです。…大まかに言うとそういう経過の事件なんですね。

とにかくこの事件の有罪の根拠は、贈賄供述者の「お金を渡しました」という供述しかないんです。しかし、この供述には重大な問題が多々あります。まずこの人物(贈賄を供述したの会社社長)は、総額4億近くの悪質な融資詐欺を犯していた男なんです。そのうちの2100万円分しか立件されていなかった段階で、この30万円の贈賄の自白供述を始めるのですが、それから先、残りの融資詐欺は全く不問に付されてたんですね。そしてその数カ月後に藤井市長が逮捕されることになるわけです。しかしこの男の供述が全くおかしいことを裁判では徹底的に主張しました。

一つは贈賄社長と藤井市長が会った時に同席した人物が「自分の目の前で賄賂のやり取りはなかった」と言っているにもかかわらず、警察はこの同席した人物に乱暴な拷問的な取り調べを行い、「席を外した」と言わせようとしました。最後は気を失うほどの強引な取り調べが行われたそうですが、この人物は基本的に一貫して「席は外してない」と言っています。

しかも贈賄側の社長は贈賄を供述したことで「重大な余罪をお目こぼししてもらった」という大きな利益を得ています。一審判決はこうしたことから「この贈賄供述は信用できない」として無罪判決となりました。

私の検事としての経験から言っても、こんなあやふやな証拠で、しかも現職の市長を逮捕・立件するなどということはありえないことです。一審ではこうしたことから無罪になったにも関わらず、特に何も新しい証拠が出たわけでもないのに、控訴審では贈賄社長の供述は信用できる、被告側の供述は信用できない、と根拠もなく勝手に解釈を変えて、判決をひっくり返してしまったのです。しかも「被告の供述は信用できない」と言いながら、毎回出廷している藤井市長の話は全く聞こうともしないのです。

こんなメチャクチャな控訴審判決であったにも関わらず、最高裁では全く検討すらされた形跡なく「三行半」で上告棄却されてしまいました。

【アシスタント 義山望】
「なぜ検察はそこまで藤井市長の有罪に執着したのでしょうか?」という質問が来ていますが…。

【郷原氏】
それはやはり一度起訴したからには、検察としては何が何でも有罪にしたいんですよ。もし無罪を勝ち取っていれば、我々も当然検察の責任を追求しますから。5万6千人の美濃加茂市の市長をろくな証拠もないのに逮捕・起訴して…その事自体が許せないですよ。

…このあとはこの事件にこのような判決が出てしまった原因の一つとして、「日本の司法制度の欠陥とも言うべき問題がある」と郷原弁護士が指摘しています。それについては是非番組サイトで番組本編をご視聴ください。


伊藤詩織さん準強姦疑惑事件


【郷原氏】
伊藤詩織さんの事件の検察審査会には、審査補助員(補助弁護士)は加わらなかったのでしょう。それは検察審査会の判断なんですが、審査員は一般の素人の方ですから、実際は事務局(裁判所の職員)が判断してるんですよ。それで検事が不起訴の理由を専門的に説明すると、素人の審査員は「なるほど」と思ってしまうんですよね。だからこそ、この伊藤詩織さんの件では審査補助員を付けてほしかったですね。

【乃木涼介アンカー】
結局、都合のいいように検察審査会が使われるじゃないですか。陸山会事件では「これだけのことがあるから起訴すべきだ」と検審が言ったのに、結局何も出なかったし、詩織さんの件では「不起訴なんだから」と検審が印籠のように使われている…ここのありかたをきちっとしないと…。

【大貫康雄氏】
本当にそんなことがあってはならないんで、被害者となった人の意見を聞くようにするべきですね。

【郷原氏】
伊藤詩織さんがその後民事で提訴してますよね?そこを注目すべきだと思います。その民事訴訟はどこからのバイアスもかからないわけですから。そこで山口氏自身が自分が正しいと主張するのであれば、証拠を出してちゃんと立証しなければならないわけですから。


森友学園 籠池前理事長夫妻の長期勾留


【郷原氏】
籠池氏が国会で安倍首相に不利な証言をしていることで大騒ぎになりましたが、その時にまさに援軍のように検察がやってきて、告発状を受理したのです。何か政治的な意図があって動いているとしか思えません。奇しくも先の衆議院選挙が告示された直後でしたか、安倍首相が党首討論で「籠池氏は詐欺を働くような人物だ。妻が名誉校長になったのは間違いだった。騙されていたのだ」…これが安倍首相が約束していた「丁寧な説明」だったわけですね。しかもまだ裁判も行われていないわけですから、「推定無罪」の原則にも反します。その上それは検察が敷いた段取りに乗っかっただけじゃないですか。

【乃木アンカー】
そしてずっと長期勾留されているわけですが…。

【郷原氏】
これが日本の「人質司法」の現実ですね。黙秘をしたり、否認を続けると勾留が長引き、保釈も認められない。それ自体が日本の司法の重大な問題だと思います。

おそらく裁判の結果を重視するということだと思いますが、籠池さんは全面黙秘ということですし、「罪証隠滅の恐れがある」という検察の判断はなかなか変わらないでしょう。実際罪証隠滅の可能性がないように思えても、検察は色々理由を主張して勾留を延ばそうとしてくるんですよ。それを一つ一つ潰していかなきゃならないんです。…本当は不当なことなんですが、そこまでやらないと保釈が勝ち取れないというのが、日本の司法の現実なんです。

…以上、ここに書いたのは番組のほんの一部です。詳しい内容は是非番組サイトでご視聴ください。

1月10日放送分は、11日の16時まで無料会員登録(ブロンズプラン)でご視聴いただけます。それ以降、および番組開始から60分を過ぎる部分のご視聴には、シルバープラン以上の有料会員登録が必要です。


【お知らせ】

みんなで作る報道番組「上杉隆のザ・リテラシー」、来月は2月3日土曜の配信です。ゲストはIWJ代表の岩上安身さん。どうぞお楽しみに!

2月以降の「ザ・リテラシー」の配信は、現在すでに募集が始まっている第4期クラウドファンディングの対象となります。番組後半はクラウドファンディング支援者向けの限定配信となりますので、下記サイトからぜひ御協力をお願い致します。